笑顔の実り。 vol.114(令和6年7・8月号)
むかいがわ なおき さん|43歳
河内長野市小山田地区 向川 尚樹さん
共通点は「自分の力量で勝負する」こと
向川さんは、10年ほど前から兼業農家として農産物直売所「あすかてくるで」などに野菜を出荷している一方、自転車のプロロードレース選手として現役でご活躍されています。
今回はそんな農家とプロのスポーツ選手を両立されている向川さんにお話を伺いました。
新規就農したきっかけは?
私の住む河内長野市小山田地区は「小山田の桃」が有名で、亡くなった祖父も桃や梨を中心に果樹を栽培する専業農家でした。おじいちゃんっ子だった幼少期は、よく祖父の畑を走り回っていました。
私は2006年から現在も自転車のプロロードレース選手として競技活動を続けています。若い頃は選手一本で農業にはほとんど関わらずに過ごしていましたが、長年、選手として競技活動を続けていくうちに、いつかは訪れる引退後のことを考えるようになりました。その時、農作業に勤しむ祖父や父の姿が脳裏に浮かび、現役のうちから農業を始めてみようと思ったことが就農のきっかけです。そして、約10年前から兼業農家として小松菜、難波葱、大阪しろななど葉物野菜を中心に栽培しています。ちょうど農業を始めたタイミングで、地元に「あすかてくるで」河内長野店が出来ることになり、オープン当初から出荷しています。
プロロードレース選手としての農業との関わり
今は南河内地区の自分の圃場のほかに、私の所属チームがある福岡県でメインスポンサーの会社(福岡トランス株式会社)がスタートした耕作放棄地の再生プロジェクトにもプロジェクトの一員として携わっています。農業は、現在、高齢化による担い手不足や耕作放棄地の増加など多くの問題を抱えていますが、自転車業界も若手は収入が安定しないといった問題を抱えており、実現できるかはわかりませんが、午前は選手として練習し、午後は農業法人で勤務するといった仕組みができれば自転車業界にも、農業のためにもなるのではないかとプロジェクトメンバーと話しています。
また、個人的に農家とプロロードレース選手の相性がいいと思うことのひとつとして、日本全国でレースが行われるので、現地での練習ついでに、全国各地の産地の圃場を見て回ることができます。本場ではこうしているのか、ここではこんな作物をこう栽培しているのか…ととても参考になり、各地で見かけた栽培の工夫を自分が出来る範囲に改良して試してみることもあります。
農業をしていて苦労したこと・嬉しかったことは?
農業をしていて苦労したことは、天候や近年の異常気象に振り回されて、思い通りにいかないこと
です。海外のレースに出場するために数週間農作業が出来ないこともある中、天候や気温の影響で植え付け時期を逃してしまうこともあり、悔しい思いをしました。
しかし、自分の野菜を食べたことがきっかけで子供が野菜を食べるようになったと言ってもらえたことがあり、そういったお声が励みになっています。私が育てているのは葉物野菜なので、果物のように「甘い」「美味しい」といった味が分かりづらいと思うのですが、同じ小松菜でも少しでも美味しいものを作りたいです。子供は野菜のえぐみや苦み等の味に敏感なので、子供でも美味しく食べられるそんな葉物野菜を作れるように肥料なども工夫しています。
今後の目標について
一見、農業とは、縁遠いスポーツですが、 自分の力量で勝負する点は農家とロードレース選手の共通点だと感じています。農業は年々自分のウデが上がっていくことを実感でき、いいものを作ればお客様に手に取って頂けるので自分の力量が試されます。直売所でたくさん並ぶ野菜の中から自分の野菜を選んでもらえたときは本当に嬉しいですし、やりがいを感じます。どこまで走り続けるか分かりませんが、これからも、自分が目指すゴールまで農家と選手の2つのペダルをこぎ続けたいと思っています。