笑顔の実り。 vol.111(9月・10月号)
かわさき ゆうこさん|40歳
羽曳野市古市地区 川崎 佑子さん
ヒトやモノと繋がりの輪を広げたい
色んなヒトやモノとつながりの輪を広げたい
「七彩ファーム」の川崎さんは、塾講師から一念発起し、2019年に羽曳野市で独立就農して5年目。イチジクやソラマメを中心に栽培されています。また、イチジクの雨よけ栽培や農と食に関わるイベント、クラウドファンディングなど新しいことにも取り組まれています。今回はそんな川崎さんに新規就農に至ったきっかけや農業の取り組みについてお話を伺いました。
新規就農したきっかけは?
私の出身は枚方市で、実家は農家ではありませんが、ご近所さんの田畑で子供の頃にカエルをとって遊んだ思い出や小学校でのサツマイモ掘り体験など、子供の頃の楽しかった農業体験がきっかけで、ずっと農業に興味がありました。子供が好きだったことから教育学部に進み、大学卒業後は塾講師として働いていましたが、内勤で働くうちに、外で体を動かすことや食べることが好きな私は「農業へ挑戦したい」という想いが大きくなっていきました。そして28歳の時に退職し、農業の道に進むことを決めました。農業をやりたいと思い立ったものの、両親は農家でないですし、農業をやっている知り合いはいないし、農業の知識も経験もありません。必死に調べているうちに、羽曳野市に農業大学校があることを知り入学しました。農大生としてインターンシップで行った農業法人(農園たかはし)へ就職し実地での栽培を学び、2019年に羽曳野市で独立、新規就農しました。
イチジクの雨よけ栽培について
就農した土地の特産品を大事にしたかったので羽曳野市の特産品であるイチジクを選びました。イチジクはすごくデリケートな果物で、収穫したその日に消費者の口に入るような、消費者や取引先との距離の近さが大切でした。また、露地栽培のイチジクは8~10月が農繁期で、それ以外の時期は他の農産物を育てることになります。自分は1つのことだけをやるのが苦手なので、気分の切り替えが出来るイチジクは向いていました。今後は収穫量を増やすことを目的に、今年からイチジクの雨よけ栽培を試験的に取り入れています。イチジクは雨にとても弱く、ハウス栽培だと露地栽培より安定していいものを作れますが、初期投資にかなりの費用がかかります。他に何かいい方法がないか模索していると、滋賀県で盛んに導入されて、比較的安価に導入できる雨よけ栽培に出会いました。大阪府では主流でないので、取り入れているイチジク農家はかなり少なく、近畿圏ではいち早く活用されている滋賀県へ視察し、自分の圃場への導入を決意しました。私の場合、すでにあるイチジクの木に合わせて雨よけを作らないといけなかったので既製品の雨よけでは合いませんでしたが、知り合いから使わなくなったブドウのビニールハウス用のパイプを譲ってもらい、自分たちで加工し、圃場に合うように作りました。今年は、この簡易雨よけ栽培で、秀品率がかなり上がると期待しています。
農業への想い
私は、農業には農産物を生産する以外にもたくさんの価値があると思っています。「七彩ファーム」という屋号には「色々な個性あふれるヒトやモノが集まりますように」という想いを込めています。私自身、子供の頃の農業体験から農業に興味を持った一人であり、「七彩ファーム」の農産物を選んでくれたお客様にも、少しでも食や農に興味を持って頂きたいと考えています。「ヒトやモノが集まる農園」を実現させるため、2021年の春には「行きつけの畑」をつくるクラウドファンディングを行いました。支援して下さった方と一緒に耐熱レンガを組み建ててピザ窯を一緒に作り、その窯で自分が生地から作り自分たちで収穫した野菜を乗せたピザを焼いて、参加者みんなで食べるイベントを行いました。「七彩ファーム」は、私とスタッフの辻さんの2人で頑張っていますが、たくさんの人に支えられています。中でも、援農ボランティアさんもお手伝いに来てくれていて、将来的に農業をやってみたい人、体を動かしてリフレッシュしたい人、家庭菜園したいけど出来ない人…など理由は様々ですが、「七彩ファーム」の理念に共感頂いた方々にボランティアに来て頂いています。本当にありがたい存在です。
今後の目標について
今後の目標は、自分やスタッフの辻さんの長所を生かして活動できたらと思っています。辻さんは管理栄養士の資格を持っていて、デザインやイラストもできますし、私は料理が好きで、自分が栽培した食材でシェアキッチンにもチャレンジしてみたいです。また、農業をしていく中で、人とのつながりは、援農ボランティアの方や取引先、消費者の方だけではありません。土地と密接に関わりのある産業なので、ただ賃貸で借りるといった感覚ではなく、その土地に入ると言う気持ちです。「郷に入れば郷に従え」ですが、その土地で昔から続いている物事と新しく入ってきた人で良い関係を築きつつ良い風に変えていきたいと思っています。南河内の農業を盛り上げたい農家仲間との繋がりもあります。近くにも様々な取り組みをされている先輩農家さんや新規就農者の仲間がいるので、情報交換をしたり一緒に視察に行ったりとお互いに協力しています。これからも色んなヒトやモノとつながりの輪を広げて、南河内の地域農業を盛り上げていきたいです。