食と農のこと食と農のこと

笑顔の実り。 vol.109(令和5年5・6月号)
なかすじ ひできさん|47歳
富田林市西板持地区 中筋 秀樹さん

農業は楽しい!という背中を見せたい

 南河内地区でも有数の大規模農園であるナカスジファームの代表をされている中筋さんは、富田林市で120年続く農家の4代目。ナカスジファームでは外国人技能実習生を含む40名のスタッフで南河内の特産品である大阪なす、キュウリ、海老芋を中心に生産・販売を行っています。今回はそんな中筋さんに地域農業をテーマにお話を伺いました。

今まで農業とどのように関わってきたか

 私は富田林の農家の家に生まれ、小さい頃から農業は特別な存在ではなく、日常生活の中に必ずある身近な存在でした。親から農業を継げと言われたことはありませんでしたが、志願して農業高校、農業大学校へ進学しました。元々農業が大好きだったわけではないのですが、農業で頑張ってくれている親の背中を見て育ったので、自然と農業の道を志したんだと思います。20歳で就農し、今年で就農27年目になりました。

地域農業活性化について

 地域農業全体を活性化しないと、どれだけ良い農産物を作っても、地域が衰退していくことで、耕作放棄地やブランド力の低下など悪い影響が発生してしまいます。だから、地域農業の発展に貢献することが自分の農業に良い影響があると思っています。私が代表取締役を務めている「おおきにアグリ株式会社」では、新規就農希望者を育成・支援する「きらめき農業塾」に関わっています。この塾では、新規就農者を育てることだけが目的ではなく、元々の地域の農業者の成長にも繋がります。新規就農希望者として来てくれる人は本当に優秀な人が多いです。農業技術は新人ですが、今まで社会で過ごしてきた知識とスキルを持っています。逆に私たち農業者は外のことを知りませんが、農業経営の経験と培ってきた技術があります。こちらが農業の技術を提供するだけでなく、彼らと交流することで、社会人生活で培った農業以外のスキルが農業界に入ってきます。また、従業員を雇ったことのない農園が1から従業員を雇うことはハードルが高いですが、研修生の受け入れという形ではハードルが下がると思います。しかし、雇用でも研修生でも、教えないといけないことには変わりありません。すると研修生の受け入れが、農園側が人を雇う練習にもなるんです。手ごたえがあったら、農園側も人に教えられるという自信がつきますよね。こういった経験から、研修生だけでなく元々の地域の農業者も成長できるんです。そうして新規就農した人が、新たに研修生を受け入れて……と少しずつですが富田林でこの塾をやらなければ元々居なかった存在が地域農業を助けてくれています。

JA大阪南管内は都市農業。大阪農業、都市農業の魅力は?

 大阪農業は魅力・強みしかないです。都市が近いということは、消費者はもちろん、多様な能力・技術を持つ人が身近にたくさんいるということです。人も集まりやすい強みがあります。しかし、都市農業はいつか都市化で飲み込まれてしまう可能性や、地方の農業と違い農地が狭いので、狭い土地でどれだけ収益を上げていくかが重要になります。でも、捉え方によってはお客さんが近づいてきている、都会に近いので観光農園・農業体験などの「ことづくり」に挑戦するチャンスと考えることもできます。デメリットや脅威は当然ありますが、いかにポジティブに捉えて、活かしていくかだと思っています。

農業者のあるべき姿とは

 私の思う農業者のあるべき姿は「笑ろてるイメージ」です。もし、自分が今やっていることが面白くなかったら、次の世代に事業を引き継ごうとは思わないですよね。「おもんないけど、継いでくれ」とは親としてとても言えないと思います。農業の世界は大変なので、私が就農する前に「農業はやめとけ」と言ってくれた人の気持ちも今はわかります。でも「農業って楽しいぞ!」という背中を見せたいんです。実際、就農して今が一番楽しいと感じています。経営を継承してからずっともがきながらやってきましたが、毎年少しずつ出来ることが増えてきて、楽しんで仕事しています!

地域農業の未来に向けて

 これからの地域農業を明るくするためには、自分たちが魅力的な仕事をしているという背中を見せることが大事だと思います。今の若い世代がナス作りをやっていないのは、今までナス作りが魅力的な職業だと見えるようにしてこなかったからだと思っています。なので私は次の世代に「大阪なすを作りたい!」と思わせる背中を見せていきたいです。大阪農業はその可能性を充分に持っていると思います。

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