食と農のこと食と農のこと

笑顔の実り。 vol.107(2023年1月号)
あだち としひろさん|53歳
富田林市別井地区 足立 敏弘さん

循環型農業にも挑戦!!

農業をしていて嬉しかったことはなんですか?

 養鶏農家になる前は、システムエンジニアとして働いた後、卸売市場でマグロの仲買人として16年間働いていました。  この谷川養鶏は妻の実家で、当時はマグロの仲買人として働きながら時々手伝いに来る程度でした。約14年前に先代から「谷川養鶏の仕事をしてみないか」と声がかかりました。40歳を目前に控えちょうど節目の時かと思い、養鶏農家として就農しました。

農業をしていて大変だったことはなんですか。

 就農当初は、わからないことだらけで、ニワトリを育てて卵を回収する他、フォークリフトの操作や鶏舎の管理などたくさん覚えることがあり、とにかく必死でした。ニワトリは気温の変化に敏感な生き物なので季節に応じた対応が重要です。特に夏場は、日照時間・気温などでニワトリが夏バテしてしまい、卵を産むリズムが不規則に変わってしまいます。  現在、餌代の高騰がかなり厳しい状況で大打撃を受けています。うちの卵は殻が硬くしっかりしているのが特徴の一つなのですが、その理由はおなかいっぱい栄養たっぷりの餌を与えているからなんです。餌が高騰しても生き物であるニワトリの餌を減らすわけにはいきません。また、地下から綺麗な水をくみ上げるのにも、ニワトリが過ごしやすいようにするための換気扇や数十機ある扇風機、ヒヨコのための電熱器などすべてに電気を使用するので、電気代にもなかなか苦労します。

農業をしていて嬉しかったことはなんですか?

 2019年、2022年と2年連続(2020,2021年はコロナで中止のため)で大阪府鶏卵品評会の最優秀賞を頂きました。また、2019年に大阪で開催されたG20大阪サミットで振る舞われた料理の中にうちの卵が使用されたことも、報告を受けたとき嬉しかったです。でも一番は、「美味しかったから」とリピートしてくれるお客様がいることです。「人から頂いて美味しかったから!」とか「直売所で買って美味しかったから!」と直接買いに来てくれる方の声を聴くとやっていてよかったと思います。

卵へのこだわりをお聞かせください。

 安全安心な卵を作りたいので「ヒヨコから育てること」が私の一番のこだわりです。ニワトリは生後約5か月で卵を産むようになります。年4回、1度に1000~1500羽のヒヨコが入ってきます。1羽1羽健康状態をこまめにチェックし、手作業で必要なワクチンを接種しています。卵を産む直前の大きくなったニワトリを買った方が楽ですが、ヒヨコの時からどんな餌を食べて、どんな環境で育ってきたのかを把握し、ニワトリの健康管理をすることが美味しい卵を産んでくれる条件だと考えています。また、ヒヨコから育てていると、小さい頃から育った環境で卵を産むことが出来るので環境の変化によるストレスを感じにくくなり、のびのびと美味しい卵を産んでくれます。  また、谷川養鶏では毎日の餌やりや集卵、鶏ふんなどの清掃をすべて手作業で行っています。餌の食いつき方やトサカや羽のツヤ、排泄物の状態などのニワトリの健康状態を確認しながら作業しています。

農業への思いをお聞かせください。

 谷川養鶏にはスタンダードな「谷川養鶏の卵」、看板商品の「美人たまご」、ワインの搾りかすを餌に使用した「なにわワインたまご」の3種類の卵があります。「美人たまご」は粉末状の麦花石を餌に混ぜていることで、においが少ない甘みのある卵になります。「なにわワインたまご」は、ブドウ栽培、ワインづくりが盛んな大阪府のワイナリーで発生したブドウの搾りかすが以前は産業廃棄物になっていたことから、ワインの搾りかすを発酵飼料にしたものを活用する提案をされました。なかなか協力農家が見つからなかったようなのですが、うちは手作業で餌やりしているし出来るかもということで、だれもやっていないことなので循環型農業として面白い取り組みかもしれないと思い、協力しています。  これからの目標はもっと若い人にも畜産業に興味を持ってもらえたらなと思います。そして、うちの卵を選んでくださっているお客様の期待に応えられるよう、これからもこだわりの卵を作り続けていきたいです。
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