食と農のこと食と農のこと

笑顔の実り。 vol.106(2022年12月)
ないみ ひろあきさん|69歳
河内長野市加賀田地区 内見 宏昭さん

仲間と共に美しい風景を残したい

農業を始めたきっかけについてお聞かせください。

 子どもの頃、農業は私にとって楽しい遊びの一つでした。父やご近所さんが農作業をしている圃場で大人たちに見守られながら藁の上でバク転したり、農繁期の手伝いをしたりと楽しい思い出です。当時父は体が弱かったこともあって、ご近所の方がよく気にかけてくれ、子供の私に農業のことや地域のことなどたくさんのことを教えてくれました。そんな地域の方々に育てられたからこそ地域に貢献したい想いが強く、勤めながら父の農業を手伝っていました。

農業を行う上でのこだわりをお聞かせください。

 父の手伝いをしているときは水稲中心でしたが、定年後農業を継いだ時から少量多品種栽培を行っています。少量多品種栽培から始めたことで、色々な野菜や果樹などの栽培方法について学ぶことができました。「あすかてくるで」河内長野店オープン当初は、来店者の多くが年配者の方だったため、若い人にも河内長野市に来てほしいと思い、果樹や鉢花のほか、若者に人気なカラフル野菜やハーブ類も出荷し始めました。  出荷作業には妻の助けが必須です。役割分担で作業を行っていて、私が農産物の栽培を担当し、妻が選別や袋詰めをしてくれています。  今、夫婦で特に力を入れているのは古代米です。古代米は色が黒く、色彩選別機(籾殻や小石などの異物を取り除く機械)に入れることが出来ないため、妻がすべて手作業で取り除いています。古代米は、くろまろの郷のビジターセンターへ出荷していて、隣のビュッフェレストラン奥河内でも提供して頂いています。

農業への想いをお聞かせください。

 近年、急激に記録的な大雨が降ることが多く、農業用水路を維持管理する水利組合・農業者の負担が大きくなっています。現場に行かなくてもスマートフォンでリアルタイムの水位がわかるという水位センサー。河内長野市が取り組む実証実験を所属する水利組合の水路で行いました。水位センサーは、兼業農家で働きに出ていても水位などを確認できる事が利点で、少人数でも管理でき、農地を守ることに繋がると思います。  私が定年になって農業を継いだ時、農機具がなく苦労した経験があり、もし将来次の世代が「農業をやりたい!」と思ったときにすぐに挑戦出来るような環境を作っておきたいと思っています。水位計の導入で、現場に行かなくても圃場の近くにいる仲間や家族に指示が出来るようになればいいなと思います。

これからの目標をお聞かせください。

 市街地に近く便利だけど、田舎の風景が広がっている、そんな加賀田地区の景色を見ると心がほっとします。そんな景観を次世代に残すため、定年退職後にNPO法人里山ひだまりファームを立ち上げました。最初は知り合い同士で農業を助け合うために立ち上げましたが、「高齢で田畑の維持が難しいので、うちの土地で農業をやってくれないか」という依頼が来るようになり、耕作面積が増えていきました。また、NPO法人では、地域で連携して景観を守るため、地元小学校の教育田などの食農教育にも力をいれています。このような活動は、NPO法人の皆で手分けして管理していて、個人では限界がありますが組織だからこそ出来ることだと思います。しかし、組織として継続的に運営していくには、善意の気持ちだけでは難しく、作業の役割分担や農機具の共同利用・事務作業など、協業化し確立させることが大切です。  今後、私たちだけではあと10年活動出来るかわかりません。若い地域の仲間を増やして、河内長野・加賀田の美しい風景を残していきたいです。
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