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笑顔の実り。 vol.104(2022年10月)
たけなか  たくみさん|68歳
羽曳野市駒ヶ谷地区 竹中 巧さん

果樹は我が子のようなもの

農業を始めたきっかけについてお聞かせください。

 私が住む羽曳野市駒ヶ谷地区はブドウの産地として長い歴史があります。私の家も代々農業をしており、私で5代目です。子供の頃からずっと父のブドウ作りを見て育ち、私自身も小学生の頃から農繁期の作業を手伝っていました。20歳の頃に家業である農業を継ぎ、父と一緒にブドウ作りに励みました。その後、父が農林水産大臣賞を受賞し、明治神宮で表彰されました。その父の姿に感動し奮い立たされた私は、自分も同じ賞を取りたいとの想いで一生懸命ブドウ作りに励み、念願の同じ賞を受賞することが出来ました。親子二代で農林水産大臣賞を受賞できたことは自分の勲章かなと誇りに思います。

農業への想いをお聞かせください。

 ブドウ作りを50年近くやって来て、駒ヶ谷のブドウが世間の流れに沿ってどんどん変化しているところを見てきました。  昔はベリーAや甲州ぶどうなどの種有り大粒ブドウが主流でした。そこから種有りのデラウェアが主流になりましたが、種無しブドウにする技術が出来たことで種無しのデラウェアが大人気になりました。そして露地栽培から、ビニールハウス栽培が始まり、その後加温栽培も出てきました。最近はシャインマスカットなどの種無しの大粒ブドウが人気になっています。このようにブドウ栽培は品種も栽培方法も常に変化しており、その時代の流れに追いつくために、たくさんの知識が必要でした。毎月、ブドウ栽培の先進地である山梨県からブドウの専門書を取り寄せて必死に勉強しました。  当時は大阪の気候でのハウス栽培のノウハウが全く無いなか、駒ヶ谷地区でハウス栽培・加温栽培を先駆けて始めた先輩方は本当にすごいと思います。そんな先輩方の果敢に挑戦する姿を見てきたからこそ、私も挑戦する心を忘れないようにしています。

農業を行う上でのこだわりをお聞かせください。

 木の持っている力を100%生かす栽培を心掛けています。人間と同じで、高齢の木に無理をさせてはいけなかったり、若い木は元気でも実をならすより木を大きくするほうに力がいってしまうのでいいブドウがならなかったりとこの木ならこれだけならしても大丈夫、という見極めが大事です。若い木はものになるまで3、4年はかかります。その時期には無理に実をならさないで、木を大きくするほうに集中させます。大体10年くらいの木になってくると、主戦力として立派なブドウをならしてくれるようになります。果樹は毎日向き合いながら10年単位で育てていくので子供のように愛情を感じます。この木はそろそろ限界かなと感じたら、早めに次の新しい苗木を植えておかないと実がなるまで何年もかかるので、ブドウを作り続けるにはいかにブドウの木と向き合うのが大切だと考えています。

これからの目標をお聞かせください。

 新たな難しいブドウに挑戦したいです。近年、緑だけじゃなく黄・赤・黒・白の色とりどりのシャインマスカット系統の新しい品種が開発されてきていて、今特に力を入れているのは、まだほとんど市場にも出回っていないマスカ・サーティーンというブドウです。数年前、知り合いが「山梨県の試験場に行き試食したマスカ・サーティーンというブドウがとても美味しかった」と言っているのを聞いたのがきっかけですぐに苗を取り寄せました。長年ブドウ栽培をしている私ですが、温度管理とジベレリン処理の時期が難しく粒が付きにくい為、試行錯誤で栽培しています。今年の夏、育てた実を初めて食べてみたら本当に美味しかったので、皆さんにお届けできるよう来年に向けて頑張って育てていきたいです。  駒ヶ谷地区には、若手で頑張ってくれているブドウ農家の方たちもいます。これからも時代の流れに沿って駒ヶ谷のブドウのブランドを守り続けていって欲しいです。
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