食と農のこと食と農のこと

笑顔の実り。 vol.100(2022年6月号)
かわかみ よしはるさん|69歳
堺市美原区平尾地区 川上 𠮷春さん

大切なことは農業から学びました

農業を始めたきっかけについてお聞かせください。

子どもの時から親の農業を手伝っていたので、幼い頃から農業に携わってきました。当時はまだ農業用の機械がない時代で、家で牛や鶏を飼って昔ながらの農作業をしていました。私が小学生の頃、学校に行くまでの朝の時間は、牛の世話をするのが日課で、麦に米ぬかを振って混ぜ、牛の餌を作って与えていました。当時は牛の飼育に使う麦も家で育てていて、自家製の小麦粉で祖母や母が手作りのうどんを作ってくれたりと、食卓に並ぶものはほとんど自分達で栽培したものでした。 子供の頃はこのまま牛を飼って農業で食べていくと思っていましたが、ちょうど高度経済成長期の時代で、高校生になると就職せなあかんと思うようになりました。高校卒業後、建設会社を経て、農業との両立を出来る公務員の職につきました。土日が休みになったことで、親の農業の手伝いをすることが出来るようになり、22歳の時に父から「お前に任せるからやってみい」と言われ、本格的に農業を教わるようになりました。

農業への想いをお聞かせください。

学校では習わないことを、農業が教えてくれたと思います。 「はじめにちゃんとしなかったら、次がしんどい。はじめにちゃんとしといたら次が楽になる」これは父からずっと言われていた言葉の一つです。 当然のことのようですが、私も働きながら農業をしていると時間がなかったり面倒だったりで守れない時もありました。「これぐらいでええわ」「明日にしよう」と横着し、取り戻すのに倍の時間が掛かっていた私に諭すように父は言ってくれていました。父からは、農業の事だけでなく、人生を生きていく上での忍耐強くコツコツ努力する大切さを学び、このことは自分の子や孫にも伝えています。 また、父から農作業の日誌を書いていきなさいとアドバイスをもらい、22歳の時からずっと農作業の日誌を書き続けています。日誌を付けるようになったことで、去年はこの時期にこうしていたから今年はこうしよう、前の冷夏の時はこんな対策をした…など読み返すことができ、父の教えを農業に生かすことが出来ています。

農業をする上でのこだわりをお聞かせください。

一番は、土づくりです。子供の時に牛を飼っていた経験から、牛ふんたい肥を使用し、さらに腐葉土、もみぬかなどを混ぜてふかふかの土になるようこだわっています。ふかふかの土だと除草も楽になり、いいこと尽くしです。 また、自分が育てた野菜を家族に安心して食べてほしいので、減農薬で栽培しています。農薬を減らすために、可能な限り酢や草木灰などの自然素材で作った農薬を使用するようにしていることもこだわりです。

農業をしていてよかったことはなんですか?

農業をしていて嬉しかったことは、やはり手をかけて育てた農作物が大きくなり、収穫出来ることです。 また、私の作った野菜を食べた人からの感想も励みになっています。野菜をあげた知り合いの方からは、「甘みが違う!」「野菜の香りが良い!」といった声を頂くこともあり、私の野菜を楽しみにしてくれる人がいることはとても嬉しいです。

これからの目標をお聞かせください。

スーパーで買い物をしていると、外国産の農作物が多いと感じます。何があるかわからないこの時代、家族の食べる野菜は出来る限り自分で作りたいという思いがあります。先祖から受け継いだ農地で、安全な野菜を作って家族に食べさせてあげられるのはありがたいことだと思います。農業を続けてくれた先祖の圃場をこれからも守っていきたいです。今は息子が休日に農業を手伝ってくれており、とても助かっています。今後は父から受け継いだ技術を息子にも受け継いでいきたいです。
緊急時の連絡先