食と農のこと食と農のこと

笑顔の実り。 vol.99(2022年5月号)
しんくま まさよしさん|61歳
羽曳野市伊賀地区 新熊 昌義さん

農業を通じて地域に貢献したい

農業を始めたきっかけについてお聞かせください。

私は消防職員として務めており、休日や農繁期は父の農作業を手伝っていましたが、本格的にやり始めたのは父が亡くなる少し前からになります。父が栽培していた作物と圃場を受け継ぐ形で、家の農業を継いだことがきっかけです。

農業をしていて大変だったことはなんですか。

 父は野菜だけでなく、果樹や花など様々な作物を栽培していたので、初めはどんな作業をしていたのか分からないことだらけでした。急に体調を崩してしまったので、父が亡くなる前に農業について聞くことが出来なかったのが惜しまれます。農作業を見ているのと実際に自身でやってみるのとは全然違い、なかなかうまくいかず苦戦することもありました。特に防除については、臨機応変な対応が求められるので苦労しました。そんな私に対して、農家をやっている親戚から「これ作ってみたら?」と苗を分けて頂いたり、作り方を教えて下さったりしたので本当に助けられました。  また、妻と一緒に農協の農業塾に参加したり、TAC職員に肥料の情報を教えてもらったり、家の光の農業情報を参考にしたりして今も農業について日々勉強しています。

農業をしていてよかったことはなんですか?

去年よりも良いものが出来た!と実感できるところです。農業を始めた最初の頃は、わからないことばかりでうまくいかないことも多かったですが、年々自身の成長を感じることが出来ています。  また、少しずつ農業について学んでいく中で、農協の土壌分析なども活用し、圃場に足りていない成分があることを知りました。水はけや通気性、PH、生物の多様性など理想とされる土に近づけるため、米ぬかや馬ふんなどの天然の有機肥料を使用して、ふかふかの土を作るように心がけました。土づくりに力を入れ始めてからは、家族から「お米の味が変わった!」と言われることもあり、改めて土づくりの大切さに気付きました。それと同時に作物を作る喜びも感じています。  また、今力を入れているのが、桃やミカンなどの果樹系です。作った果物を子ども達が美味しいと食べてくれることはとても嬉しいですし、私自身も果樹の栽培が好きなこともあり、新たにシャインマスカットの栽培にもチャレンジしています。ブドウの栽培は初めてですが、試行錯誤しながら栽培しています。

農業への想いをお聞かせください。

 家の食卓に父が作った農産物が食卓に並んでいるのが我が家の楽しみの一つでした。当時は食べる専門だった私ですが、父が亡くなった今もその食卓の楽しみをなくしたくありませんでした。いきなり多品目の栽培を受け継ぐことは大変でしたが、父から受け継いだ圃場も食卓の笑顔も減らさずに残したいという思いが強かったので、頑張れました。そんな私を見て子ども達も「お父さん大変やろ。手伝うよ」と農作業を手伝ってくれ、とても助かっています。

これからの目標をお聞かせください。

 近所の方が「昔はお父さんにいろいろ教えてもらっててん」と、田んぼの水入れを手伝って下さったり、農作業のアドバイスを下さったりと周りの方に助けられているので、今でも父に助けてもらっているかのように感じています。そして、自分もお返しできるようになりたいです。また、専業農家の同級生に「出荷してみぃひんか~?」と誘われることもあり、仕事を引退してからは、直売所への出荷にも挑戦してみたいと思っています。私の住む埴生地区でも宅地が増え、都市化が進んでいる現状があります。地域農業を守るためにもこれからも農業を続けていき、地域に恩返しをしていきたいです。
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