太子町春日地区 野間 崇太郎さん
農業は発見の毎日。
農業を始めたきっかけについてお聞かせください。

仕事で各地を転々としていましたが、初めて農業に関わったのは太子町に引っ越してきた5年前です。近隣の方から妻に「奥さん、良かったらブドウ手伝ってくれへん?」と声をかけて頂いたことがきっかけで、妻が先に太子町ぶどう塾に参加しました。地元の人間じゃない私たちが太子町の名産であるブドウの栽培をやらせてもらえることはありがたいことだと思い、私もぶどう塾に参加し、徐々にブドウの栽培に専念し始め、昨年からは自分のブドウでワインを造っています。
ワインを作り始めた経緯を教えてください。
ブドウ作り1年目の時に、圃場の一部をワイン用のブドウとして栽培しました。ワイン用の方が作業の手数が少ないので楽だろうという理由です。ぶどう塾の知り合いでワインを委託醸造している人がいたので、そちらの醸造所に納品しました。そこはレストランも併設されているので、自分たちのデラウェアがどんなワインになったのだろう?とお酒の好きなわたし達は食事をしに行きました。そして今までのワインのイメージが覆されるような不思議な味わいに衝撃を受けました。そのワインはマセラシオン・カルボニックという造り方で、一般的なワインの造り方※ と違い、ブドウを房のままタンクに入れ、ブドウに元々付着している天然の酵素と酵母の力が発酵を進めて出来たワインです。
その後、2年程は生食用ブドウの出荷に専念していましたが、農家さんとのご縁が広がり、貸して頂く圃場が増え、生食用の圃場としての管理が出来ない広さになっていきました。そして4年目に圃場の一部をワイン用に育て原料として納品する準備をしていた頃のことです。知り合ったワイン醸造家の方に「野間さんも自分で造ってみたら?」と言ってもらったのを機にワイン造りを始めました。ワイン造り2年目となる今年は、生食用のブドウは育てず、全てのブドウをワインにするために育てました。仕込んだ後は、毎日ワイナリーに行き、タンクの中のワインに声を掛けながら、様子をみます。ワインは生きています。全部ワインが教えてくれます。それに従って搾り、ビン詰めをするのが、わたしの仕事です。今にして思うと、私がワインの全くの初心者であったこと、そしてブドウを栽培していたからこそ、失敗を恐れずワインづくりにチャレンジできたのだと思います。
白ワインはまず搾ってジュースにしたものを発酵させます。赤ワインは梗(軸)から粒をはずして、破砕したものを皮・種ごと発酵させてから搾ります。
農業のこだわりを教えてください。

私は動物が好きで、ブドウ作りをきっかけに昔から念願だったヤギを飼い始めました。ヤギはたくさんの草を食べてくれるので、除草作業は主にヤギに担当してもらっています。ヤギのおかげで除草剤を使わなくて栽培できています。また、廃棄するものを減らしたいという思いがあり、通常は廃棄してしまうブドウのサビを餌にした罠でイノシシを狩る猟を行っています。ワインに関しても太子町の特産であるブドウの可能性や個性を反映させた美味しいお酒を造りたいとの想いで仕込んでいます。
農業をしていて嬉しかったことはなんですか。

近隣の皆さんや農家同士の繋がりで太子町をはじめ南河内の人たちとの繋がりが深まったことがとても嬉しく、農業をしていてよかったなと思います。何もかも初挑戦だったので、出来たワインが世の中にどう受け止められるのか不安でしたが、出したお店やお客さんからも良い評価を頂けて「また次も是非買いたい!」と言ってもらえたことは本当に嬉しかったです。
また、自分の造ったワインで、夫婦で晩酌する時間はとても幸せです。今日あったことや思っていることを話し合うこの時間がなければ良いワインは生まれないと思っています。ありがたいことに周りの農家さんや地域の方々に応援して頂いていて、人の繋がりの温かさを痛感する日々です。これからも野間一家一同(夫婦とネコのぷんにゃとヤギ5匹)で思い切り楽しみながらワインを作っていきたいです。


