笑顔の実り。 vol.91(2021年9月号)
いけだ まさかずさん|61歳
大阪狭山市 大野地区 池田 雅和さん
安全安心なブドウを提供したい
農業を始めたきっかけをお聞かせください。
私の住んでいる大阪狭山市の大野地区ではブドウ作りに適した土壌を生かし、ブドウ栽培が盛んです。100年以上の歴史がある大野地区のブドウは総じて『大野ぶどう』と呼ばれています。我が家でも父が専業のブドウ農家だったため、私も子どもの頃から手伝っていました。12歳の頃に母が亡くなり働き手として手伝っていた子どもの頃は、みんなが遊んでいる土日に作業をしないといけない事が嫌だったのを覚えています。私は就職し勤めていましたが、35歳の時に父が亡くなりました。それからは勤めている私に代わり妻が中心となり父から受け継いだブドウの栽培と直売所をやってくれていました。私は、朝に収穫して、直売所に運んでから出勤、そして休日はブドウ農家として作業にいそしむ日々でした。妻に任せきりだった中55歳で早期退職し、そこから専業農家としてブドウ作りに励んでいます。
農業をしていて嬉しかったことは何ですか。
理想に近いブドウが出来てお客様から「ここのブドウが一番おいしい!他の店とは味が違う!」と言って頂けたときが嬉しいです。『大野ぶどう』といえば糖度が高く渋みの少ないデラウェアが有名ですが、他の産地に比べて大きさや形が異なることが多いです。大野地区では農家が自分の直売所で販売することが一般的で市場にはほとんど出していません。市場出荷を想定せず直売所販売向けに栽培されているため、房が大きく長めの形が特徴的です。市場では規格外になりますが、直売所でしか流通しない『大野ぶどう』では買いに来て下さったお客様に「こんなに大きいデラウェア見たことない!」と喜んで頂くとやりがいを感じます。
農業を行う上でのこだわりをお聞かせください。
低農薬栽培で安全安心なブドウを皆さんに提供したい思いがあり、うちで栽培しているデラウェアと大粒ブドウの一部は約10年前から大阪エコ農産物の認定を受けています。また、直売所で頂くお客様の生の声、ニーズに出来る限り応えていきたいので皮ごと食べられるブドウなどの新しい品種の栽培にも挑戦中です。父の時代は数種類だけ栽培していましたが、今は多品種のブドウを栽培しています。ブドウの栽培では挑戦し始めてから実が出来上がるまで早くても4~5年の年月がかかるため簡単なものではなく、当然失敗もあります。作り方が悪かったのか、土地に合っていないのか、失敗の原因を見極めることは難しいです。そして、農業は自然が相手のため天候に大きく左右されます。これからますますゲリラ豪雨、猛暑などの異常気象が増えていくと思うので自然との闘いですね。中途半端な出来のブドウを出してしまうと『大野ぶどう』としてのブランド全体の信頼に関わるので、品質保持を徹底しています。
これからの目標をお聞かせください。
今の直売所は借りている土地に建てているものなので、将来的にはもっと環境の整った自分の直売所を持ちたいです。息子や妻も賛成してくれていて、共に同じ夢を追いかけています。妻には勤め時代に苦労をかけましたし、今でも誰よりも段取り良く動いてくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。多くの直売所がある中、私のブドウを選んでうちの直売所に来てくれるお客様のために、これからも健康に留意し、体が動く限り美味しいブドウを提供していきたいです。