食と農のこと食と農のこと

笑顔の実り。 vol.80(2020年10月号)
だいちのさと ゆうほう                さん| 歳
河内長野市 上岩瀬地区 大地の里 友邦    (組合長)中浦 吉康さん    (副組合長)西端 由美さん

地域のためにスタート

始めたキッカケを教えてください

 私たちの住む上岩瀬地区は、わずか54軒の小さな集落で、高齢化の影響で地区内商店の閉店が相次ぎ、買い物や自炊するのも大変という声が少なくありませんでした。そのような状況の中で、地元の主婦たちから「地域のために何かできる事はないか」という声があがったことがキッカケで、上岩瀬農産物加工組合 「大地の里 友邦」が誕生しました。加工所の設立には大阪府、河内長野市、地元企業、住民の方々からの寄付で南海高野線千早口駅前に建設することができ、現在は地元の憩いの場、休憩所として、また災害時の待ち合せ場所としてなど、暖かく愛される場所を目標に日々活動しています。

どのような活動をされていますか

 友邦は生産部と加工部の2つに分類され、主に男性が生産部で各自の畑で栽培した旬の農産物を加工所に納品しています。そして加工部では平日に味噌や佃煮、ジャムなどの加工品を作って店頭販売しています。金・土・日曜日はそれら加工品に加え、売り切れ次第終了のお弁当や惣菜も販売しています。

こだわりはなんですか?

安心・安全・新鮮な地元食材を使用した加工品惣菜です。味噌作りでこだわっているところは完全に保存料を入れず、無添加をモットーに「抱き麹」をおこなって手間を惜しまないことです。うちの加工所は資金もスペースも限られているので、大型機械を導入せず、ほとんどが手作業でやっています。素人の集まりだからこそ、手間を惜しまず自分の家族が口にする食品だと思って作り、手間を手間と考えません。地元で昔から伝わってきた伝統的な作り方、昔懐かしのおふくろの味です。  お米は薪を使ったカマドで地元産のお米を炊き上げています。カマドで炊いたお米は、炊飯器とは違い、キラキラと輝き、甘みと旨みが詰まり、適度な粘り気やふんわりとした食感を持つごはんに仕上がります。  ジャムはイチジクやイチゴ、桃、そして河内長野市産品「近里賛品かわちながの」ブランド認定を受けた地元産とうがんを使用した「とうがんジャム」などがあります。とうがんジャムはとうがん独特の食感を残しながら、レモン、生姜、梅シロップを加えていて、うちの人気商品です。友邦で販売されているものはすべて、この奥河内の豊かな自然の恵みそのものです。

嬉しかったことはありますか?

 普通の地元の主婦が作っているのですが、「コンビニ弁当とは全然違う」「これこそ、おふくろの味や!!」と言って買いに来てくれる方々がいます。そんなお客さんの言葉を聞くと苦労が喜びに変わっていき、次はどんなメニューを作ろうかと加工部のみんなでワクワクしながら話し合います。時々懇親会や女子会などを開催し、もっと友邦での時間を楽しめるようにしたいと思っています。手間ひまをかける事は大変ですが、友邦の「みんな」で来てくれる「みんな」のためにならできると、毎日が充実しています。

これからの目標を教えてください

 難波から電車で30分、関空から1時間というアクセスを活かし、地元の方だけでなく、大阪市内や河内長野市以外の方にもこの地域を知ってもらえたらうれしいですね。友邦では毎年10月~5月の木曜日に手作り味噌づくり体験を開催していますので、このようなワークショップを通じてこの場所を利用してもらうことで、人が自然とここに集まり、賑やかな、そして地域の住民の笑顔が絶えない場所にしていきたいと思います。「人の為に生きる精神で和を持って新しい邦を作る」そんな気持ちを込めて立ち上げた友邦という農産物加工所で、これからも毎日笑顔を作っていきます。
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