食と農のこと食と農のこと

笑顔の実り。 vol.73(2020年1月号)
たなか ひでのりさん|65歳
河南町 山城 田中 秀憲さん

米作りの苦労と喜び

農業塾でノウハウ学ぶ

 ナスや米を作っていた両親を手伝い、田中さんは子供の頃からハウスのビニール張りや収穫を手伝っていた。学校を卒業し就職してからは、土日を中心に農作業を手伝った。
 本格的に農業を始めたのは、今から5~6年ほど前だ。両親が高齢になり、作業するのが難しくなってきたので、農地を受け継いだ。昔から手伝っていたので、大体の流れは頭に入っていたが、細かい作業は分からないことが多い。知識をつけるため、昨年にJA大阪南が主催する農業塾に通い、栽培のノウハウを学んだ。
 「農業塾でもらった資料が栽培の役に立ちました。品種ごとに栽培の時期やポイントが書いてあるので、作るとき参考にしています。約1年間一緒に学ぶので、農業について情報交換できる仲間が出来たのも嬉しいですね」
 知り合いに聞いたり、資料を読みながら実践し、少しずつ育てる品種を増やしている。今は、米作りをメインにハクサイやブロッコリー、キャベツなどを育てている。

米作りの苦労と喜び

 田中さんが育てる米の品種はヒノヒカリだ。米作りには様々な苦労があると話す。
 「今年一番大変だったのは、ジャンボタニシの発生です。放っておくと稲を食い荒らしてしまうので、毎日取り除いていました」
 完全には駆除出来ないので、めんどうでも地道に取り除き、割り切って付き合っていくしかない。
 「後は、水の管理も大変ですね。田んぼによって水はけの良い所と悪い所があるので、水の量を調整しないといけません」
 粘土質の土だと水持ちが良いが、砂地だと水が抜けやすい。毎朝、田の様子を見て水量を確認している。
 農作業は基本的に1人で行っているが、田植えや稲刈りなどの農繁期は、息子さんが手伝いに来てくれるそうだ。天気の悪い日は出来ないので、晴れの日に集中して作業する。田植えの時は、前日に苗を田の前に運んでおく。何度も運搬するのは、かなりの重労働だ。
 大変なことが多い米作りだが、収穫のとき、黄金色に輝く稲穂を見ると、それまでの苦労が吹き飛ぶ。
 「お米は知り合いが買ってくれるのですが、美味しいと言ってもらえると嬉しいです。これからも頑張る力が湧いてきます」

地域の農業を守るため

 他の市町村と同じように、田中さんが住む地区も農家の高齢化が進んでいる。後を継ぐ人はほとんどおらず、地域の将来を考えると不安だ。
 「私は機械や道具が揃っていたので父の後を継ぎましたが、何もないゼロからのスタートだと大変だと思います」  収入の面でも、勤めていた市役所の公務員と同じ年収を得るためには、かなりの努力が必要だ。せめて、儲からなくても損はしない水準まで持っていければと話す。
 「なんとかしたいと思っていても、気持ちだけでは体は動きません。JAは地域の農業を支える組織なので、課題に取り組んでいって貰えると嬉しいです」

農業で健康

 農作業をしていると、暑い日も寒い日も毎日畑に出る。農業を通じて身体を動かすことが、自分の健康に繋がっていると田中さんは話す。
 「退職して年を重ねると、外に出るのが億劫になることもあります。でも、農業をやっていると身体を動かすことが多いので、運動不足になりません。息子が後を継ぐかどうかは分かりませんが、自分が出来る限りは健康に農業を続けたいです」
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